水辺の妖怪になりたい

オタクの雑記

無職

今年の10月末に会社を辞めた。今年大学を卒業したばかりの新卒で、今は無職だ。
「残業少なめ」の文字にムカつく。なんで残業なんてものがあるのか、本気で理解できなくてイライラする。マジで残業をしたくない。
求人の海をサーフィンしながら途方もない気持ちになる。
おかげで転職中にもかかわらず、新しくピアスを開けてしまった。完全にストレスからの軽率な行動。
開けたての穴から出るあの変な体液をべちゃべちゃに流しながら面接に行く。ナメてる。

大学卒業まで特に挫折のない自分がまさか半年で社会人を辞めるとは思わなかった。
こういっちゃなんだけど、まあたいていのことは出来た子どもだった。
数学と球技だけが壊滅的にダメだったという以外、たいていのことは並みかそれ以上に出来ていた。
そういうわけで、学校の代表だなんだと人前に出ることもよくあった。
今も転職活動で面接をしているが、いくらでも人前ではペラペラ喋れる。例えそれがウソでも、盛ってあっても。幸いあまり緊張する場面を苦にしない性格だ。

会社を辞めたのは有り体にいえばメンがヘラったからだ。
こういう性格だったから心療内科なんてまさかって感じ。病院の待合室でぼうっと順番を待ちながら、その時もまさか私がって思っていたくらいだ。
仕事中に悲しくもないのに涙が止まらなくて何度もトイレに立ったり、いつも何かにムカついていて、それでいて死んじゃいたかった。ここで轢かれて入院したら仕事に行かなくていいのかあ、と毎朝本気で思っていた。社会人になってから、ビックリするくらい考え方が卑屈になった自覚がある。
今でも長生きはあまりしたくない。オタクなので舞台とか色々楽しみはあるけど、頃合で死にたい。

前職では営業職をやっていた。体力的にキツかったのも事実だったが、何より会社の方針と考え方が合わなくてストレスだった。
売り上げを伸ばすたって営業する前にやることあんだろ!と何度も何度も思った。
ちょう下っ端の私ですら疑問に思うんだから相当なんじゃないかと、今でも暗い気持ちになる。
その頃は特に現場のことを考えていない方針に感じたからだ。
営業も制作も残業の多い業界だったが、悪く言えば営業はポーンと案件を制作に流してしまえば帰れる。定時を一時間も二時間も過ぎてから「これ急ぎで」って案件を流すのが私は苦痛だった。
趣味で絵や文を書いたりするから、生意気なことをいうと生み出すことが大変なことだというのはなんとなくわかる。ましてや、仕事として制作をすることがどれだけつらいのか私には想像できない。どんなに好きでも限界がある。たった半年勤めただけで、体を壊した人を何人も見送った。
もちろん営業は売り上げのプレッシャーがあるし、案件を取ってくるのが仕事だ。常に矢面に立って、時には制作現場のミスも被らなければならない。その対価だと割り切れれば良かったのかもしれないが、私は営業職としては繊細過ぎたんだろう。
あとはやっぱり残業。残業は悪。もう、労働は体に悪いってはっきりわかんだね。

そんなこんなでストレスで抑うつ状態になり、ついでに胃をありえんくらいに壊した。物が食べられなくなってあっという間にやつれていった。生命維持のためにかろうじてチョコレートを食べまくった。

つらかったが、前職の上司は本当に神様のようにやさしい人だった。
40代の課長で3人家族の大黒柱。気分屋の部長と急激にメンがヘラった私に挟まれ、大企業が倒産して膨大な売り上げがパァになっても八つ当たりもせず、穏やかだった。こんな上司は人生で二度と現れそうにない。これだけは私の財産だ、人間としてかくありたい。
何でもない事務処理をしながらひとりで突然泣き出し、営業車の助手席で黙りこくってぼうっとしたまま死んだ顔をし、情緒不安定で残業中にイライラと文句を言いながらキーボードをダンダン!とぶっ叩いていた気味の悪い部下をよく気遣ってくれたと思う。
私は運転が下手くそで、車線変更で危うく車体をぶつけそうになったり、 アクセルとブレーキを踏み間違えて取引先の駐車場で彼を殺しかけたこともある。ほんとにごめん。
わからないことを聞けばどんなに忙しくても丁寧に答えてくれる神様のような上司だった。
退社する時、その他とは別に彼にだけはゴディバのチョコを買った。ささやかな罪滅ぼしで、今も自己中心的な自分を思い出すと、ゲロを吐きそうだ。
今でも彼にだけは本当に恩を感じている。

私は長女で両親への恩も感じているし、ちゃんとしなきゃとか、今までも手のかからない良い子であるように努めてきたのに、このザマだ。
最近は特に卑屈なので自分でもびっくりするぐらいイヤなことを言ってしまう時があり、つらい。
親友にもそうだ。本当につらかったとき、LINEでまっとうなことを言ってくれて電車の中でわんわん泣いた。最寄駅から泣きながらバス停を目指していたら、同じ地元に住む彼女がバイト終わりにわざわざ私を見つけてくれて、彼女の姿を見た時、何かが切れたように私はさらにわんわん泣いた。
彼女とは長い付き合いで、それこそ数え切れないほど恩を感じているのに、最近は彼女に対してでさえイヤな人間になっている自覚がある。
もう心療内科へ通う程ではないが、私が負っていた傷は自分が思うよりもずっと根深いのだと思う。というか、積年の重みに耐えきれずに「背負ってきた何もかも」が決壊したというほうが正しいかもしれない。
私は無職になって、社会的に何者でもなくなってはじめて、無力感と解放感を感じている。

社会的に何者でもないというのは想像以上につらい。つらいと同時にたしかに自由でもある。
今は転職活動が二転三転して、結局自分がどうありたいのか、ぜんっぜんわからないのだ。ピアス増やしちゃうくらいに無責任だ。

デトックス的に散文すぎることを書いたが、で、何が言いたいかって言うと、3億が欲しい。印税とか、不労所得で暮らしたい。石油王の第37夫人くらいになって毎月仕送りされたい。

働きたくない!